どうも、のさか(@breakconnect)です。
ここ最近、人を育てることについてよく考えるのですが、やっぱり恐怖や不安で促される成長ってダメだなぁと思うようになりました。
これはバイトやインターン先でも感じたことで、僕を含め人を育てる立場にある人は恐怖や不安によって成長を促そうとしていることが非常に多いものです。
特に、部下に頻繁にフィードバックをしている管理職の方が陥りがちなのは単なる「小言のうるさい姑」になってしまっていること。
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僕が小言のうるさい姑になっているとき
僕自身1年ほど管理職(メディア編集長)として働いてきて、単なる「小言のうるさい姑」になっているなぁと思う瞬間がありました。
インターン先ではメディア運営に関わることほぼ全てをやっていたのですが、業務の中で最も大きな割合を占めていたのは、個々のライターや編集者へのフィードバック。
より良いメディアを作れるよう、また不快な気分にさせないよう、建設的で丁寧なフィードバックを心がけながら、「あぁではない!こうではない!」と色んな方にチャットでメッセージを送っていました。
しかし、受け手からすればそれはどうだったでしょうか?
恐らくその多く、細かく、長いフィードバックは「口うるさく小言を言う姑」のように思えたんじゃないかと思います。
要するに毎回記事を入稿(編集)するたび、「また何か言われるんじゃないか?」「今度は何も言われませんように!」と恐怖や不安を覚えさせてしまうものだったんじゃないかと。
現に僕が1つの記事に対して何度かフィードバックしている内に、辞められたライターさんもいらっしゃいます。フィードバックに対する心理的ストレスはなかなかのものだったのでしょう。
でもだからといって、極力フィードバックを控えて、質の低い記事を垂れ流しにすれば良いというわけでもありません。そんなことをすればメディアの質はだだ下がりになる一方です。
褒めてから改善点を指摘すれば良いというわけでもありません。確かに重要なことではありますが、受け手からすれば小言感は抱かずにはいられないでしょう。
何も言わずに修正しておくというのも全く良くありません。「あぁ、自分に言ってもムダだと思われたんだろうな。」「フィードバックをサボられた?」と思われてしまう可能性がありますので。
ならば一体どうすればよいのでしょうか?
僕が出会った理想の上司
その答えを探るべく、僕が出会った理想の上司の話をさせていただきます。
大学1年生のとき、僕は仕事が厳しいことで有名な某アパレルショップで働いていました。仕事ぶりはと問われれば、僕は間違いなくできない部類に入っていたようなスタッフでした。
手先が不器用で服を畳むのが遅かったし、接客なんてやったことがなくて極端に上がり症だったし、何より目付きが悪く愛想が悪いと思われることが多く、入社したての頃は毎日のように怒られていました(厳密には「叱られていました」が、当時の僕にはそのように感じることはできなかった)。
しかし、ある上司は僕のことを全く怒らなかったのです。休憩時にランチに誘ってくれて、「仕事で分からないことがあれば何でも聞いてね。」と優しく接し、あろうことか大して話が面白いわけでもない僕に何度もランチを奢ってくれたりさえしました。もちろん彼はとても仕事ができ、将来有望な方でした。
彼はいつも僕が「〜が上手くできないんですよね。」と言えば、「いや、のさかくんならできるよ!」「充分できているよ!」と何の疑いもなく言ってくれました。
ときどき、今さっき自分で生み出したことのように「こうすればもっと上手くできるよ!知ってた?」とニンマリしながらアドバイスをくれたり、実際に仕事している姿を見せてくれたりもしました。
僕は彼の優しさや期待に報いたく、必死で仕事を覚えました。
毎回出勤の30分以上前に来て、全商品と全報告書を確認したり、ほか店舗に行って服を畳む練習をしたり、お声掛けのフレーズを参考にしたり、仕事ができる方がしていることを観て学んだり、常に全力で動き、最速で作業を完了できるように心掛けたり……。
その努力の末、半年経つ頃には主力メンバーの1人として重たい作業や難しい作業を任せてもらえるようになりました。
彼が「のさかくん、ここの仕事やってもらっていい?ここ任せられるののさかくんしか居ないねん。」と言ってくれたときは思わず泣きそうになったものです。
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“have to”を”want to”にすること
話を整理していきますね。
僕は入社したての頃、全く仕事ができなくていつも怒られていました。
しかし、先ほど紹介した上司は僕を怒らずにアドバイスをし、励まし、そして何より僕を「ちゃんと認めていた」のです。だからこそ、心のこもった励ましができたり建設的なアドバイスができるわけで、僕はそれ報いようと必死で努力しました。
逆にいえばこの「認められている感」がない限りは、アドバイスや励ましは「単に口調の優しいフィードバック」でしか無いでしょう。
なぜならその背景にあるのは、「早く仕事できるようになってもらわないと困る(使えない)」という自己利益や蔑視の思想だから。
そのため、多くの人は間違うたびにイライラしながら(「できる」人は不気味にニコニコしながら)フィードバックするのです。そして、受け手はそこに含まれた思惑を感じ取って、恐怖や不安を感じるようになります。
「怒られないために早く仕事を覚えて、認めてもらわなきゃ」と。
これってスタートが全く違いますよね?
一方は「認めてくれているから報いたい」という”want to”であるのに対し、もう一方は「怒られないために認めてもらわなきゃ」という”have to”なんですよ。
当然のことながら、have toなんかよりもwant toの方がよほどモチベーションは高いです。僕とその上司の事例を見れば一目瞭然ですよね。
目的を見失わせて「育てた」と勘違いする人たち
また、恐怖や不安による教育にはもう1つ盲点があります。それは、本来の目的を見失わせてしまうこと。
先ほどの章でも少し触れたとおり、被教育者は恐怖や不安を感じると「怒られないためだけの行動」を取りやすくなります。
単純作業が多いアルバイトや部活のちょっとした雑用とかであればそれも良いかもしれませんが、大きな責任が伴う仕事でそんなことが起きるようではいけません。
というのも、元来仕事は怒られないためにするものではなく、顧客や社会・会社全体の利益のためにするものだから。「怒られないためだけの行動」をとる人材が多ければ多いほど、仕事は形骸化していきますし、むろん大した価値も生み出せなくなってしまいます。
そして厄介なことに、この「怒られないためだけの行動」を教えこませることで「育てた」と勘違いする人たちが非常に多いのです。
後輩・部下の自主性や主体性の無さに嘆いている方はこのことをよく考えてみたほうが良いでしょう。
自分自身を認めること、他人にできないことがあると実感していること
では、恐怖や不安を伴う小言のうるさい姑的態度を止め、人を認めるためにはどうすればよいのでしょうか?
これに関してはハッキリとした方法は思いつかないです。というか「方法」というような安っぽいものではなく、色んなことを経験し、感じ取った結果身につくものなのではないかと思います。
ただ、人を認められている人ってこんな人じゃないかなぁという推測はある程度あります。
それは恐らく、自分自身を認めていて、自分にできて他人にできないことがあると実感している人。
まず前提として、自分自身を認めていない人は他人も認めることができません。
自分の中で「これはしちゃダメだ!」と思っていることが多ければ多いほど、他人にもそれを強たり、それをしている人を蔑むようになりやすくなります(この場合、人間的な正邪ではなく、個人的な好悪に関わること)。
逆にいえば、自分の中で偏見的に嫌っている行為が少ない人ほど他人の嫌な部分を受け入れ、認めることができるようになります。
もう1つ、自分にできて他人にできないことがあると実感すること。
これは頭で理解はできていても実感している人はあんまり多くない印象。なんだかんだ人は自分中心に考えてしまう嫌いがあり「自分はできるのだから、他人もできるでしょ。」と思ってしまうものです。
その結果、そうしたできる人はできない人に対して小馬鹿にした態度をとってしまいがちになります。
しかし、自分にとっての常識は他人にとっての常識ではないことなんて当たり前で、こうした態度を自然にとってしまう人(特に「仕事ができる人」)は教育者(部下・後輩を持つ者)として致命的です。
最後に
話が長くなったので、最後に少しだけまとめて終わらせていただきます。
- 姑の小言のようなフィードバックの仕方は、相手に恐怖や不安のイメージを植え付けてしまいがち。
- その結果モチベーションをhave to的なものにしてしまい、本来の目的を見失わせてしまう。
- 理想的な教育は受け手を認めて、信頼や恩義(憧れ)といったwant toを感じてもらうもの。
- そのためには自分自身を認め、人の多様性を実感できる人間であることが条件となる。
またここで勘違いしないでいただきたいのは、僕が言いたいのは「怒るのはダメ、褒めて育てよう」的な安易な話ではないということではないということ。
僕が言いたいのは、怒っても褒めてもどちらでも良いが、教育者と被教育者の間にはお互いが認め認められている(慕われている)信頼関係が必要だということです。
この信頼関係があれば、怒られても「この人は私のために怒ってくれているんだ!」と思え、怒られないためだけの行動をとることはありません。
まぁ僕自身全くできていないので、これからこうした教育を狙ってではなく、自然とできるような自分になれるよう、この「人間力」とも呼べるような要素を磨いていけるよう努めていきます。
ではでは〜。
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